平成23年度 問1

平成23年度 問1

H18年以降出題されなかった、久々の二段膨張の問題です。中間冷却器の熱収支を導き出し方をマスターしていても、「中間冷却器の必要冷凍能力Φm」で戸惑ってしまうかもしれません。



問1 R404Aを冷媒とする二段圧縮二段膨張の冷凍装置を、下記の冷凍サイクルの条件で運転する。この装置について、次の(1), (2), (3)および(4)の問に、解答用紙の所定欄に計算式を示して答えよ。
 ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は熱となって冷媒に加わるものとする。 また、 配管での熱の出入りはないものとする。 (20点)
  
(冷凍サイクルの運転条件)
低段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー           h1 = 358 kJ/kg
低段圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー    h2 = 384 kJ/kg
高段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー           h3 = 361 kj/kg
高段圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー    h4 = 390 kj/kg
第一膨張弁直前の液の比エンタルピー            h5 = 240 kJ/kg
第二膨張弁直前の液の比エンタルピー            h7 = 200 kJ/kg
低段圧縮機の断熱効率  ηcL = 0.70
低段圧縮機の機械効率  ηmL = 0.90
高段圧縮機の断熱効率  ηcH = 0.75
高段圧縮機の機械効率  ηmH = 0.90
冷凍能力  Φo = 110 kW

(1)蒸発器の冷媒循環量qmL (kg/s)を求めよ。
(2)中間冷却器の必要冷却能力のΦm(kW)を求めよ。
(3)高段側の冷媒循環量qmH (kg/s)を求めよ。
(4)総圧縮軸動力 P(kW)を求めよ。

サイクル図とp-h線図を書いてみましょう。




  • qmL’ :中間冷却器のh6からh3の冷媒量
  • h2’、h4’ :実際の低段圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー

(1)蒸発器の冷媒循環量qmL(kg/s)は、楽勝に求めます。
基本式は、これ。(分からない方は勉強不足、2種学識計算攻略へどうぞ)
 Φm = qmL (h1 − h8)
よって、
qmL = Φo / h1 − h8
  = 110 / 358 − 200 = 110 / 158 = 0.696205
  ≒ 0.696
 答え 0.696 (kg/s)

(2)中間冷却器の必要冷却能力Φmの求め方は2通りあります。さて、
この2つです。
  1. 装置の動作を理解しΦmを求める公式を覚えておく方法。
  2. 中間冷却器の熱収支から冷媒循環量を求め冷却能力を計算する方法
ぅむ、(3)の問いで高段側冷媒循環量を求めるので、 1.の方法で求めましょう。(2.の方法は後述します。)

(1.の方法)

右図は理論上のp−h線図です。中間冷却器では、
  • h6からh7へqmLが冷却される。
  • h2からh3へqmLが冷却される。
と、覚える。
なので、中間冷却器の必要冷却能力Φmは
Φm = qmL (h6 − h7) + qmL (h2 − h3)
 と、覚える。


この問題は、理論値ではありませんから、(右図参照)

Φm = qmL (h6 − h7) + qmL (h2’ − h3)


         h2 − h1
h2’ = h1 + ─
        ηcL・ηmL

じゃ、値を入れます。

           384 − 358
h2’ = 358 + ─
          0.70 × 0.90

            26
   = 358 + ── = 358  41.269841 = 399.26984
           0.63

   ≒ 399.27

じゃ、Φmの式に値を入れます。

ここで、h5 = h6

Φm = qmL (h6 − h7) + qmL (h2’ − h3)

    = 0.696 (240 − 200) + 0.696 (399.27 − 361)

    = 0.696 × 40 + 0.696 × 38.27

    = 27.84 + 26.63592

    = 54.984

    ≒ 54.5

答え 54.5(kW)

(2.の方法)
(この年度の問題の流れからこの方法は必要無いですが、参考として記しておきます。)
まずは、基本式
Φm = qmL’ (h3 − h6) …(1) 
qmH = qmL’ + qmL …(2)
ここで、わからないのはqmHとqmL’です。qmHがわかれば、(1)式からΦmを求められます。

ここで、中間冷却器の熱収支を考えます。

右図を見て、中間冷却器に入るものと出るものを、左辺と右辺に並べます。
入るもの h6、h2 
出るもの h3、h7
なので、
qmH・h6 + qmL・h2’ = qmH・h3 + qmL・h7
 (h2’に注意してください。)

qmHを求めるため式を変形します。比エンタルピーの大小を考えて移行します。
qmL・h2’ − qmL・h7=qmH・h3 − qmH・h6 
qmL(h2’ − h7) = qmH(h3 − h6)
よってqmHは、

          h2' − h7
qmH = qmL + ─
          h3 − h6


h2’を、求めます。((1.の方法)で求めましたが、また記しておきましょう。)

         h2 − h1
h2’ = h1 + ─
        ηcL・ηmL
           384 − 358
  = 358 + ─
          0.70 × 0.90
            26
   = 358 + ── = 358  41.269841 = 399.26984
           0.63

   ≒ 399.27

では、qmHを求めます。

          h2' − h7
qmH = qmL + ─
          h3 − h6

           399.27 − 200
   = 0.696 + ─
            361 − 240
           199.27
   = 0.696 + ── = 0.696  1.6468595 = 1.1462142
            121
  ≒ 1.146 (kg/s)

じゃ、(2)式でqmL’を求めます。
 qmH = qmL’ + qmL …(2)
 qmL’ = qmH − qmL = 1.146 − 0.696 = 0.450 (kg/s)

では、(1)式で、Φmを!
 Φm = qmL’ (h3 − h6) …(1)
     = 0.450×(361−240) = 0.450×121 = 54.45
   ≒ 54.5 

答え 54.5 (kW)

この(2.の方法)は、この問題の場合は(3)でqmHを問われるので、そうですね(1.の方法)で解いていったほうが良いでしょう。

(3)高段側の冷媒循環量qmH (kg/s)を求めましょう。


まずは、基本式
Φm = qmL’ (h3 − h6)  
qmH = qmL’ + qmL
ここで、問い(1)でqmLを、問い(2)でΦmを求めましたから、楽勝です。

 qmL´ = Φm / (h3 − h6) = 54.5 / (361 − 240) = 54.5 / 121 = 0.4504132
   ≒ 0.45 (kg/s)

 qmH = qmL´ + qmL = 0.45 + 0.696 = 1.146 ≒ 1.15

 答え 1.15(kg / s)

(4)総圧縮動力P(kW)を求めましょう。
基本式は、

P = PL + PH

           h2 − h1
PL = qmL × ─
          ηcL・ηmL

           h4 − h3
PH = qmH × ─
          ηcH・ηmH

面倒なのでノートを激写
(画像をクリックすれば拡大できます)
注)この式の場合は、h2´ではありません。
ちなみに、h2´で計算する場合は、
 PL = qmL(h2´− h1)
h2´を求める式を代入すると同じ式になります。(右写真参照)

h4´の場合は、
 PH = qmH(h4´− h3)
 となります。



一気に行きます。

PL = 0.696 × {(384 − 358) / (0.70 × 0.90)} = 0.696 × (26 / 0.63) = 0.696 × 41.269841
   = 28.723809 ≒ 28.72

PH = 1.15 × {(390 − 361) / (0.75 × 0.90)} = 1.15 × (29 / 0.675) = 1.15 × 49.407406
    ≒ 49.41

P = PL + PH = 28.72+49.41 = 78.13 ≒ 78.1

答え 78.1(kW)



そんなわけで、 とっても長い解答になってしまいましたが、本番ではこんなに書ききれません。採点者の気持ちになって要点が通じるような、ざっくりカットした計算式を組み立ててください。